【本】学校の大問題 これからの「教育リスク」を考える
今回読んだ本の著者である石川一郎氏とは、様々な場面でご縁をいただいてきました。
たまたま以下の動画を見たことで、石川氏の最新刊をぜひ読んでみたいと思いました。
この本では、今年の新型コロナウィルス感染拡大により、学校現場がどのように考え行動してきたのかが紹介されていて、自分自身の思いを改めて整理する良いきっかけになりました。
2020年度の新しい学習指導要領の3本柱の一つである
「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」
が、まさに学校現場で試されたわけですが、私自身が所属していた機関での経験を通して、この「未知への状況」への対応への課題が浮き彫りになりました。
一つ目の課題は、「意思決定の弱さ」です。
生徒たちが学校に来れない状況が続く中で、教員に何ができるのかを考え、まずはできることから試行錯誤を繰り返すことが大切だと考えますが、そのことに対して、何かあったときに誰が責任を取るのかという否定的な意見を突きつけられ、行動に移すまでに膨大な時間を浪費してしまいました。
結局、お上の許可が降りてから皆一斉に行動するという各学校の指導者の姿勢に、苛立ちを抑えることができませんでした。
二つ目の課題は、ICT活用について環境整備ができていないことです。
対症療法的に、5月の1ヶ月間は、Zoomを利用して、オンライン授業を行いましたが、教員は個人のPCを使って授業を行い、生徒の半数が学校に登校するようになってからは、機材がほとんど用意されていない中、ハイブリッド授業をするよう指示があり、自費で必要な備品を揃えてハイブリッド授業を行いました。
三つ目の課題は、「一方通行型の授業」です。
6月以降は、これまでのことがなかったかのように、従来型の詰め込み授業に戻ってしまっています。そのような中、三密を避けること、対面授業はしないこと、など、実質不可能な制限を課され、このままの授業のあり方に危機感を抱いています。
この本を読んだことで、上記の三つの課題が、ほとんどの学校が抱えている課題だということを改めて気づかされました。
またこれらの課題の背景についても、この本に具体的に記されていますので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
また、この本を読むことで、「改訂版ブルーム・タキソノミー」という教育目標の分類について理解を深めることができます。
教育を場当たり的に行うのではなく、科学的アプローチに基づいて行うことの大切さをこの本から学ぶことができました。
現在、学校現場では「探究型」の学びをいかに実現するのかが大きな課題となっています。
その学びを実現できるよう、まずは教員自身が探究型のアプローチを通して、学校のあり方をデザインしていくことが必要だと考えます。